歯並びが悪いと歯ブラシが届かないため、虫歯や歯周病になるリスクが高まり、歯を失いやすくなります。本来、奥歯でかむ力を受け止めているのですが、本数が少なくなるとより力が集中するため奥歯から順番に歯を失うことになります。そうなると前歯だけが残り食事がしづらくなります。早い段階で歯を失わないような対策が重要です。
また歯並びが悪かったり、歯がないまま放置したりすることで、かみ合わせに問題のある方が増加しています。こうした状況から、無意識のうちにくいしばりが起きるケースも増えています。
皆さんは上下の歯が当たっている時間は一日のうちでどれぐらいあるかご存知ですか。実は正常な方は一日15~20分程度なのです。通常。安静にしている時、上下の歯は1~2ミリ程度離れています。そして、食事の時や唾を飲み込むときに当たるのが正常な状態です。これらの時間以外にも強い力で食いしばると歯や歯周組織に大きなダメージを与えてしまします。
多いケースとしては夜間の歯ぎしりや食いしばりがあります。スポーツや重いものを持つときのほか、仕事や勉強などで集中している時に無意識に食いしばっていることがあります。短時間で弱い力であればさほど問題ないのですが、強い力や持続した力が加わることにより以下のような影響があります。
①歯が擦り減る(摩耗・こう耗)②歯の根元近くがはがれ落ちる(くさび状欠損・知覚過敏)③局所的に歯周病が悪化する(骨の垂直的欠損)④あごの周囲の筋肉やこめかみ、首の筋肉がこったり、筋肉痛を起こす⑤あごの関節部の痛みや運動障害(クリック音や開口障害)などです。かみ合わせの改善にはマウスピースの装着などが必要です。歯がすり減ったと感じたりした場合は、気軽に身近な歯科医院にご相談ください。
(鹿児島県歯科医師会 情報・対外PR委員 毛利英樹)