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不足すると健康に影響 災害時の口腔ケア

 災害時、避難所での生活は口腔環境にも大きな影響を及ぼします。避難所生活が長期化すると、栄養不足やストレスによる体力の低下に加え、口腔環境を清潔に保つことが難しくなるため、むし歯や歯周病といったトラブルが増加する恐れがあります。

 特に高齢者の場合、口腔内の汚れが原因となり、誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症のリスクが高まることが知られています。このため、口腔ケアの不足は、被災者の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

 限られた水で歯磨きを行う場合は30ミリリットルの水をコップに用意し、歯ブラシをぬらして歯を磨きます。汚れてきたらティッシュや布などでふき取り、再び歯磨きを続けます。その後、水を少量ずつ口に含み、23回に分けてすすぎます。液体歯磨きや洗口液がある場合は、水の代わりに使用すると効率的で、水のすすぎも不要です。

 避難生活中、ストレスや緊張によって唾液の分泌が減少し、口腔内が乾燥しやすくなることもあります。唾液には口の中をきれいに保つ働きがあるため、唾液腺を刺激するマッサージや口や下の体操を行って唾液の分泌を促しましょう。

 入れ歯を使っている方は、着けっぱなしにしていると細菌の増殖を招く可能性があります。十分な水が確保できない場合でも、濡らせたガーゼやティッシュで汚れを拭き取るようにし、食後には必ず清掃を行うように心がけましょう。

 災害時の備えとして、非常用持ち出し袋に歯ブラシや液体歯磨き、歯間ブラシ、デンタルフロス、入れ歯の方は入れ歯洗口剤とケースなど、自分や家族にとって必要なものを事前にそろえておくと良いでしょう。

 

         (鹿児島県歯科医師会 情報・対外PR委員 尾立健太郎)

不足すると健康に影響 災害時の口腔ケア
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