しっかり睡眠を取っているのに、日中に度々眠気が生じることはありませんか。睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
睡眠中に何らかの原因で気道が閉じたり狭くなったりする病気です。呼吸が止まる(無呼吸)、いびきをかく(低呼吸)症状が出て、苦しくなって起きるのを繰り返します。日中の眠気や集中力・記憶力の低下、だるさ、倦怠感、起床時の頭痛などが自覚症状です。
人は目の覚めている(意識のある)状態でもあおむけに寝転がると、舌や、のどの手前の軟らかい部分「軟口蓋」が重力で下がり、気道が狭くなります。意識のない睡眠時には筋肉の緊張が緩むため、一層狭くなります。
そこに、あごが小さい、舌が大きい、扁桃が大きい、肥満といった気道を圧迫しやすい身体的特徴が加わると、睡眠時に気道がさらに閉鎖されやすくなり、無呼吸状態を起こしやすくなるのです。
治療は身体的特徴で異なります。肥満が減量療法、扁桃が大きい場合は耳鼻科的手術。あごが小さい場合は口腔外科的手術・矯正治療のほか、CPAP治療は内科や循環器科、耳鼻咽喉科などの医療機関で行います。機器で鼻から空気を送り込み、舌や軟口蓋で押し上げ気道を広げる方法です。
スリープスプリント治療も、まず内科や循環器科、耳鼻咽喉科などの医療機関で検査します。その後、同機関が依頼した歯科医院で下顎の位置を前方へ誘導し、気道を広く保つような機能を備えたマウスピースを制作。就寝時に装着します。
睡眠時無呼吸症候群になると、血中の酸素不足を発端に高血圧や心臓疾患などを引き起こすリスクが高まります。思い当たることがあれば早めの検査・治療を。
(鹿児島県歯科医師会 情報・対外PR委員 上國料剛)
あごの小ささも一因に 睡眠時無呼吸症候群