透明なマウスピースを装着して歯並びを整えるアライナー矯正は、歯の表面にブラケットという装置をつけて針金を通す一般的な矯正方法に比べて目立ちにくく、違和感や痛みも少ないとされます。今回は日本矯正歯科学会が昨夏発表した見解に基づき、アライナー矯正を行う上で大切なポイントについて説明します。
学会の見解は、アライナー矯正を行う歯科医院や業者が近年乱立し、患者からの問い合わせが増えていることを背景に出されました。適正な診断・治療が行われていれば何ら問題はないのですが、注意の必要な場合があります。
まず、矯正歯科の研修を受け診療科目にも掲げる矯正歯科医による診察、検査、分析、治療経過の確認が行われていないとき。アライナーが大手宅配業者から患者に直接配送されているような事例がありました。適切な治療を受けていないと予期せぬトラブルを引き起こす可能性があり、歯科医学的観点からは非常に危険です。
次に、国内の法律で医療機器と認められない機器で作られたアライナーを用いるとき。長期間使用しても適切な治療結果が得られない恐れがあります。
歯並びを整え、かみ合わせを正すことが目標の矯正で治療を誤ると、どうなるでしょうか。不適切な方向に動かしてしまった歯並びの改善に長い時間がかかるばかりか、難易度も高まります。
アライナー矯正を受けるにあたっては、国内の法律で医療機器として認められている機器で作られたものか、確認してください。
その上で、細やかな治療が受けられる歯科医院を選択していただければと思います。
矯正歯科医の診察を アライナー矯正