フレイルという言葉を聞いたことがありますか。新聞紙面で近年、取り上げられることも増えています。
加齢に伴い介護が必要となる方が増えてきますが、介護が必要な状態と健康な状態との中間がフレイルです。直訳すると「虚弱」。早く気づき、きちんと対処、予防することで元の健康な状態に戻すことができます。つまり要介護を予防できます。
フレイルには、筋肉が衰えるなどの身体的フレイル、無気力・無関心状態などをもたらす心理・精神的フレイル、引きこもって外に出なくなるなどの社会的フレイルがあります。互いに連鎖し、要介護へ進んでいきます。フレイルの状態に早く気づき、対処することが重要です。
中でも身体的フレイルは、食べこぼしやむせといった口の機能低下、「オーラルフレイル」から始まります。口腔ケアや口腔リハビリで健康な状態に戻せますが、対処しなければ身体的フレイルにつながる可能性があります。老化は口から始まり、全身に移行すると考えられるようになりました。
次に挙げる症状に心当たりはありませんか。
1.口が渇く 2.かみにくくなってきた 3.汁物などでむせることが増えた
4.滑舌が悪くなった 5.食欲が落ちた 6.食べにくい食品が増えた
どうでしょう、なんとなく軟らかいものばかり食べてはいませんか。かみごたえのあるものを避けていませんか。そういった食事をしていると、かむための筋肉が落ちてきますし、栄養が偏りがちになります。
口の機能低下は、自覚しにくいと言われています。歯科医院で定期的にチェックしてもらい、口の中の問題を把握することがフレイルの予防につながります。
(鹿児島県歯科医師会理事 要光)
老化の始まり 全身移行 オーラルフレイル