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長期にわたる可能性も 歯根の治療

 歯科医院で「歯の根っこの治療をしますね」と言われたことはありませんか。歯の根っこの治療とは、根っこの中に細菌が入り込んで歯の神経が膿んだり、神経が通っている管が細菌に汚染された時に歯を救うために行う治療です。

 根っこの中が細菌に汚染されたままだと、細菌が根っこの先からあごの骨に感染して、あごの骨が溶けてそこに膿(うみ)をためはじめ痛みや腫れを引き起こします。最悪の場合、抜歯せざる得ないときもありますが、なんとか歯を残すために行うのが根っこの治療です。

 治療の基本は、①細菌に感染した神経や歯質を除去する②神経の通っていた管をよく消毒する③管の中に新たに細菌が入ってこないようにゴム状の詰め物で完全に封鎖するの三つです。

 やることは単純なのですが、実際に根っこの中は直接見ることができない上、管もいろいろな方向に曲がっているので、難しい治療になることもしばしばです。

 レントゲン写真や根っこの長さを測る器械などを使い、針のような器具で慎重に作業をしなければならないので、治療にはどうしても数回かかり、根っこの先の病巣が大きい場合は数カ月かかることもあります。

 うまく管の中を消毒でき、完全に封鎖することができたら、根っこの先の溶けていた骨も自然治療で骨が再生され、元通りになります。根っこの治療が終わったら、根っこに土台をたててかぶせ物を入れれば、自分の歯として十分機能させることができます。

 ただ、治療の相手が細菌なので、退治できたかどうかを目で確認出来ません。治療後に「これでもう大丈夫、再発はしません」と患者さんに太鼓判を押せないのがこの治療の難しさでもあります。再治療になる時もありますが、そこはご理解いただければと思います。

(鹿児島県歯科医師会 情報・対外PR委員 中島厚生)

長期にわたる可能性も 歯根の治療
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