日本歯科医師会が2022年8月、15~79歳の男女1万人を対象に行った調査「歯科医療に関する一般生活意識調査」によると、若年層の「食べる」「話す」「笑う」などの口腔機構が十分に発達していないと疑われることが分かりました。
口腔機能不全が疑われる症状として①滑舌が悪くなる②口の中が渇きやすい③むせやすい④食べこぼしをする⑤食べていて飲み込めない⑥飲み込みにくいの六つが挙げられます。この中からどれか一つでも該当したのは10代が48.3%、20代が40.6%という結果になりました。
どの症状も、30代から70代へと年代が上がるにつれて経験する人が増える傾向になりますが、「滑舌が悪くなることがある」においては、10代で30.3%と前年代平均の28.1%と比べても高めの値になっています。
また、若年層の「かむ力」に関して、「硬い食べ物より柔らかい食べ物が好き」と答えたのは53.6%、「硬いものを食べるときにかみ切れないことがある」は40.3%と10代が最も多くなっています。「食事でかんでいると顎がしびれることがある」にいたっては10代が48.3%と、70代の18%の3倍近くに上ります。
若年層のかむ力に関しては現代の食生活の軟食化をはじめとして、さまざまな要因から弱まっている傾向がみられます。かむ力の低下は、口腔機能の未発達や歯並びの乱れ、顎関節症の原因になるだけではなく、栄養不足や運動機能の低下にもつながっていきます。
また、若年層は歯並びや歯の白さなど見た目には気を遣う一方で、口腔機能に関しては意識が低いことがわかりました。
10代と20代の6割以上が口腔の定期的なチェックを受けていません。若年層こそ、かかりつけの歯科医院での定期的な健診が非常に重要になります。
(鹿児島県歯科医師会 情報・対外PR委員 竹脇秀一)
発達不十分の症状目立つ 若年層の口腔機能