歯は、母親の胎内にいる頃に作られ始めます。妊娠2カ月当たりから将来の上顎・下顎・舌になる部分が形成され、3~4カ月頃には歯のように見える歯胚になります。
歯胚の時期に何らかの異常が生じると、二つの歯が一つにくっついた「癒合歯」や、正常な歯に比べて小さな「矮小歯」になることがあります。
また、この時期に歯の外装であるエナメル質や内層の象牙質を作る細胞が現れます。母親から供給されるカルシウムやリンを基に、エナメル質や象牙質を作っていきます。
しかし、細胞に異常が起きると、正常な歯質を作ることができなくなります。結果、歯の表面が変色した「エナメル質形成不全症」や「象牙質形成不全症」になってしまいます。
こうした歯の異常は、乳歯だけでなく永久歯でも起こります。歯のでき始める時期が妊娠中か、主に出産後かの違いです。
永久歯は、乳幼児から顎骨内でエナメル質と象牙質ができ始め、硬くなっていきます。歯の種類によって多少ばらつきはありますが、小学校低学年くらいに歯の上部すなわち歯冠の形態が完成します。
つまり、永久歯の歯冠が作られる乳幼児から小学校低学年までが「歯の質」を決定する大切な時期と言えます。この時期に、歯の形成に重要なカルシウムなどをきちんと摂取すれば、強い歯を作ることができると言われています。
乳歯も永久歯も生えたばかりのときは石灰化度が低く、虫歯になりやすいです。歯の質の強化にはフッ素入り歯磨き剤で歯を磨き、定期的に高濃度フッ化物を塗布して石灰化度を高めることが有効です。
(鹿児島県歯科医師会 情報・対外PR委員 上國料 剛)
小学低学年までが重要 歯の質